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抗議声明 東京入管による監理措置の運用・被収容者の処遇にたいして

Posted on: 2024年 09月 12日


2024年9月12日
東京出入国在留管理局長 さま
出入国在留管理庁長官 さま
SYI収容者友人有志一同


東京入管による監理措置の運用および被収容者の処遇にかんする報告と意見


 わたしたちは入管収容と送還に反対し、国籍にかかわらず全ての人間の自由な移動と基本的権利のために活動する団体です。おもに東京入管での被収容者との面会は10年以上にわたりおこなっています。

 このたび本状をお送りするのは、東京入管による監理措置の運用および被収容者の処遇をめぐる12の問題点について報告し、意見を述べるためです。以下に挙げる問題点のなかには、従来からみられる問題にくわえて、昨年改正の入管法(当方は改悪法と呼んでいますが)の施行にともない生じた新しい問題もあります。これまでの当局の動きを見ているかぎり、長期収容の問題が解決されるとは思えないし、被収容者の人権状況が改善されたという評価もほとんどできません。

 なお、本状の写しは東日本地区入国者収容所等視察委員会にも送付している、ということを申し添えておきます。


【長期収容の問題】

① 監理措置によって収容の長期化が防がれていないこと

 改正法により導入された収容免除の措置である「監理措置」が本年6月10日から運用されています。これについて入管庁はウェブサイトで「収容の長期化を防止するため... 3か月ごとに必要的に収容の要否を見直し、収容の必要がない者は監理措置に移行する」と説明しています。

 しかし、少なくとも東京入管の管轄下では、監理措置への移行がほとんどなされておらず、多くのケースにおいてあいかわらず収容が長期化しています。複数の被収容者の証言によれば、6月10日から現在まで、監理措置を申請した東京入管の被収容者は数十名いると思われますが、実際に許可されたのは数名だけです。東日本入管センター(茨城県牛久市)にも、申請の条件を満たしているのに不許可にされた人が複数います。(なお監理措置への移行の許否判断をするのが、申請者を最初に収容した地方局または支局であり、仮放免許可申請とは異なり入国者収容所は許否判断をしない、ということは把握しています。)

 監理措置への移行を不許可にされた人々のうち多くは、6か月以上、人によっては1年以上と、すでに収容が長期化しています。なお、不許可の通知には理由が付されることになっています。しかし実際には、当方が聴取したかぎりでは「逃亡のおそれ」または「不法就労のおそれ」のどちらかが理由として示されるだけで、なぜ個々の申請者がそのように判断されたのかの説明は一切ありません。監理人が不適格だから不許可にされたという話も、今のところ耳にしていません。

 この運用のしかたには、従来の仮放免とどんな違いがあるのでしょうか。許否判断の基準はあいかわらず不明瞭であり、監理措置制度の目的であるはずの収容の長期化防止はほとんど達成されていません。

 [改善のための意見] 東京入管は、条件を満たした監理措置申請を全て許可すべきです。


【被収容者の健康に関わる問題】

② 居室の狭さ

 東京入管は収容人数を増やしています。統計によれば、昨年末の時点で221名が収容されていましたが、現在ではもっと増えているはずです。被収容者の証言によれば、たとえば本年7月初頭、Bブロックでは、8人部屋3つ、4人部屋4つ、単独室1つがどれもほぼ満員で、40人近くが収容されていたそうです(東京入管には16の収容ブロックがある)。

 問題となるのは、居室の狭さです。外部者は各室の正確な収容人員数について知りえないものの、被収容者の証言により、6人や8人といった大人数が狭い部屋に詰め込まれていることを当方は知っています。ある被収容者が描いた見取り図によれば15畳(約25平方メートル)ほどの居室を成人男性5名が共有しており、就寝時に隣のマットレスとの感覚は数十センチしかないことが分かります。

 居室の狭さは、被収容者の生活水準を低下させ、日常生活のストレスを増加させます。なお国連人間居住計画(UN-Habitat)の定義によれば、4名以上が同じ部屋を共有しなければならない居住環境は「スラム」に該当します。

 しかも、狭い居室に多人数を詰め込むことは、被収容者を感染症に対して脆弱にします。実際、本年8月中にも、E, I, Nの三つのブロックでコロナが感染拡大し、一時、共用スペース開放時間が停止され、被収容者は居室にカンヅメにされました。2021年2月、東京入管が55名にのぼる被収容者のコロナ集団感染を引き起こしたことも想起されるべきです。

 [改善のための意見] 東京入管は、各部屋の最大収容人数を見直すべきです。

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③ 給食の品質の悪さ

 給食については春に、強い異臭のするパンが出される、腐った生野菜でお腹を壊した、という二種類の苦情を、複数の人から聞いています。

 パンについては次のとおりです。4月1日より、新しい業者の弁当が出されていますが、当初は「弁当がおいしくなった」という喜びの声が聞こえたものの、一週間すると、給食の質が悪くなったと、複数名が口を揃えて証言するようになりました。とくにパンについては「袋を開けただけで異臭」「袋を開ける前ですら臭う」「漆喰を食べているような食感(もし漆喰を食べたらこういう感じではないかという意味)」「お腹を壊した人もいる」「自分はもうパンを食べていない」といった証言を、4月中に聞き取っています。なお、このパンを納品している業者は、株式会社一心屋(神奈川県川崎市川崎区塩浜2-18-7)です。

※ 法務省「契約に係る情報(公共工事・物品役務等の競争契約・随意契約)」⇒物品役務等の競争契約・令和6年4月、2307番を参照。
 
 腐った生野菜については次のとおりです。5月4日土曜日の夕食で出された生野菜のキャベツが変色していて、あとで回収されました。しかし、その前に食べてしまっていた数人が腹痛になってしまったと聞いています。それ以降、生野菜は出されていません。これは東京入管での食品の管理方法に問題があった可能性があります。業者は三食分をまとめて納品しているはずなので、それを被収容者に支給するまで安全に保管しておく責任を負うのは入管当局です。

 [改善のための意見] 異臭のしない、安全に食べられるパンや野菜を支給してください。そのために東京入管は、納品された食品の管理方法を見直し、また、業者が納品する食品の品質を向上させるために給食の単価を上げるべきです。


④ 調髪・ひげそり機器の衛生上の問題

 当団体は2022年2月、および本年6月に、東京入管での電気シェーバーの使い回しと不十分な消毒方法について抗議しました。2022年まで、東京入管は電気シェーバーを居室ごとに使い回しさせていました。これはB型肝炎などの感染症を拡げる危険な措置です(現に、東京入管に収容中にB型肝炎に感染したとみられる方を、当方は一人知っています)。2022年3月、電気シェーバーやバリカンの「洗浄及び消毒要領」を東京入管は作成しましたが、それに定められている消毒法は、いぜんとして感染症防止には不十分なものです(くわしくは添付された本年6月の意見書を参照)。

 くわえて被収容者からは、シェーバーもバリカンも刃が古いので、ひげや頭髪が剃りにくいという証言を得ています。うまく刈れず出血する場合もあるとのことなので、この状態を放置することは、感染症防止の観点からみて大きな問題です。

 [改善のための意見] バリカンやシェーバーを理容師法の定めのとおりに消毒してください。また、少なくとも1年ごとに刃を交換してください。


⑤ 休日に医師が勤務していないこと

 被収容者からは、休日に体調を崩しても、薬すら出してもらえないという苦情を聞いています。これは、休日に医師が置かれておらず、薬を処方する人がいないせいでしょう。東京入管の収容場は数百名を収容する規模があるというのに、休日に医療担当者がいないというのは非常に危険なことです。

 万が一のことがあれば救急搬送すればいいという考えかもしれませんが、処遇担当職員が医師の判断なしに救急搬送をしたことなど、ほぼ皆無ではないでしょうか。東京入管で医師の指示なしに外部診療や救急搬送がされた、という話を聞いたことはありません。

 [改善のための意見] 365日、医師を置いてください。


被収容者の生活の質と自由に関わる問題

⑥ 入管法に定められた生活必需品が支給されないこと

 改正入管法は、被収容者にたいして「衣類及び寝具」「食事及び湯茶」「日用品、筆記具その他の物品」を貸与または支給すると定めています(第55条の21)。これにともない本年6月以降、各地の入管収容施設では、下着、洗濯洗剤、石鹸などが支給されるようになっています。

 しかし東京入管では、所持金のある人には下着を支給しないというやり方をしている、との証言があります。その一方で、東京入管が指定した業者(ファミリーマートと思われる)では、パンツ1枚900円、シャツ1枚1,500円と割高で困っているとのことです。

 下着や靴下は消耗品です。区別をつけずに全員に支給すべきではないでしょうか。なお東京入管の被収容者処遇細則第10条では、下着2着、靴下2足は「支給」されるものと定められています。

 [改善のための意見] 下着や靴下など、処遇細則に定める支給品を、すべての被収容者に支給してください。


⑦ コピー機を使用できないこと

 東京入管では、収容場にコピー機が置かれていません。そのため被収容者は、外部の人に文書の複写を依頼しなければなりません。これは被収容者の自由を不当に制限することに当たります。とくに難民申請者は、申請書や証拠などの文書を提出するさい、自分や代理人のために写しを作成しておく必要がありますが、そういうことが自由にできないからです。

 [改善のための意見] 被収容者がコピー機を使用できるようにしてください。


⑧ 収容者間の物品授受ができないこと

 東京入管では、異なるブロックの被収容者間で物品の授受ができません。しかし実際には、面会者を介して物を授受することは可能で、処遇担当職員もそれをとくに問題としていません。そうであれば、被収容者間での物品の授受それ自体には、何も問題はないはずです。仮に担当職員の仕事量の増加が問題となるとしても、その理由により正当化されるのは、物品授受の申請件数の制限までであって、それを受け付けないことではありません。

 [改善のための意見] 異なるブロックの被収容者間での物品の授受を認めてください。


⑨ 運動の時間帯(共同スペース利用可能時間帯)が短いこと

 現在、東京入管では、被収容者処遇細則にいう「運動の時間帯」すなわち居室の外の共同スペース(運動場やシャワー場など)を利用可能な時間帯が、午前9:30から12:00まで、午後1:00から4:30までとなっています。これが短いという被収容者の苦情を耳にします。さらに夕食が午後5時で、朝食は8時なので、夜に非常に空腹になるという声もあります。

 他の収容施設ではそちらの処遇細則で定められていますが、もっと長いところもあるはずです。夕食の時間も早すぎます。

 [改善のための意見] 共同スペースの利用可能時間帯を延長し、夕食を遅くすべきです。


⑩ 椅子が少ないこと

 東京入管の居室の狭さについては②で述べたとおりですが、くわえて、居室や共同スペースの調度品の少なさについても苦情を聞きます。とくに、居室に椅子がなく、共同スペースにも椅子がわずかしかありません。書き物をするときに椅子と机なしで、床に座りながらでは書きづらいものです。腰の悪い人に椅子なしでの生活は負担が大きくなります。

 [改善のための意見] 居室に椅子を置き、共同スペースの椅子を増やすべきです。


外部交通権にかんする問題

⑪ 夕方以降の電話が制限されていること

 東京入管では、夕方(運動の時間帯の終了後)の電話の使用が制限されています。証言によれば、二日に一度しか使用できないようです。とくに出身国が日本から遠い人は、時差を考慮したうえで自国の家族などに電話をかける必要がありますので、夕方の時間帯の電話が制限されることは、外部交通の大きな妨げになります。

 [改善のための意見] 夕方以降も毎日、被収容者が電話を使えるようにすべきです。


⑫ ビデオ電話の使用が認められていないこと

 報道もされていますが、2022年頃から、ビデオ電話による外部交通を認める刑務所が増えています。しかし今までのところ、入管収容施設でのビデオ電話による外部交通は、代理人弁護士との通話を条件つきで認めている事例以外には聞いたことがありません。被収容者からもビデオ電話を使用したいという要望を聞きます。

 [改善のための意見] 被収容者のビデオ電話による外部交通を認めてください。

以上



by p-dragon | 2024-09-12 03:00 | 入管収容・入管政策

 

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