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「入管に殺されるかも」東京入管コロナ集団感染・感染者からの手紙

Posted on: 2021年 03月 10日


 東京入管で2月15日から3月4日までに、58名の男性収容者が、新型コロナウイルスに感染したと判明。事態発覚時点の男性収容者総数105名のうち、半分以上が感染したことになる。

【参考記事】初の入管クラスター 収容者58人感染、施設内の閉ざされた実態(毎日新聞 3月6日)

 2月17日に感染発覚したスリランカ出身のSさんから、このたび手紙が届いた。彼の手紙からは、この事態におよんでも、どれだけ入管が収容者をないがしろにしているかが伝わる。読者には、入管の人命軽視、人権無視に批判の声を挙げてほしいと、Sさんは望んでいる。


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【以下、Sさん手記】


柏崎さんへ


 わたしは東京入管に収容中でいるスリランカ人の男性Sです。

 わたしたちのことを助けたいと思って外でがんばっている皆様に心からかんしゃいたします。



 わたしも2月17日のPCRけんさでコロナに感染したことが分かった。

 それからずっと へやの中です。へやから出るのはシャワーだけです。シャワーに行くときもずっと しょくいんがついて来る。前はフリータイムのとき自由にシャワーできたのに 今は好きなとき できない。

 コロナになってから入管収容内でもっときびしくなった。毎日おなじ べんとうだから たべたくない人は多いのに べんとうはかわらない。

 しょくいんが たべない人の べんとうばこ もって行く。わたしも なんかいも たべなかった。



 しょくいんが自分でたべない人を きろくにする。のに くすりだけのませる。くすりも口に入れて水ちゃんとのむのを かくにんする。

 本当はおなかに〔胃に〕なんにもないで くすりだけ〔飲むのは〕体によくないことを しょくいんが分ってるのにやってます。

 どうしても体がいたい人は くるしい人は くすりをのみたいです。わたしもコロナに感染する前から いろんなびょきで くすりをのんでいるのです。



 コロナに感染したことでストレスもっているのに しょくいんからのいじめ いちばんきらいです。

 3月3日5:00 pm~6:00 pmまで B2004番号のしょくいんがわたしに言ったこと。

 「食事ぐらいは自分の金でかえ」「金をないならがまんして食べるしかないやろう」とのことでした。

 でもここでべんとう うっていないし コンビニであるものは あまいもの(おかし)だけです。

 今コロナのことで心配している かぞく毎日 自分のこと知りたい。でも でんわできる時間はきまってるから 国の時間は日本の時間とちがって なかなか話せない。



 わたしはコロナで いちばんひどかったとき むねがいたくて よう足〔両脚〕を しびれたみたい たちあがらない ときがあった。そのとき体が あすい〔熱い〕から ダンボ〔暖房〕はとめてほしかった。

 でもインターホンをおすため立ち上がることができなかったので あさまで くるしんだ。そのとき しょくいんに こうえ〔声〕をかけるとしても しょくいんが みまわらなかった。



 いまは このじょうたいで考えるのは 生きるかもしれない。しぬかもしれない。

 命は fifty, fifty です。なぜなら へやに とじこんで〔閉じ込められて〕いる 不安です。

 もしかしたら入管は わたしをころされるかも 本当に入管はこわい。



 これからも外から こうえ〔声〕をあげて わたしたちをまもってください。たすけてください。

 今までもわたしたちの命をのこってるのは 外で自分たちのことを考えている みんなさんのおかげだと思っています。

 もしみんながいなければ 入管が自由で好きなように収容者をくるしめると思います。

 今のコロナで わたしとすべての収容者を ころされるまえに たすけてください。

 よろしくおねがいします。



 S
 H-13 スリランカ人
 2021年3月6日



【以下、解説】

 これまで東京入管は、収容者が3人部屋、4人部屋で寝食をともにする密集状態を解消せず、免疫が弱まっているだろう傷病者も平気で長期収容しつづけてきた。これほどの大規模なクラスターを招いた責任は、東京入管局長にある。

 東京入管は、保健所の指導にしたがって適切に対処していると言うが、やっているのは隔離と検温くらいだ。しかも当初陰性だった人を雑居のまま放置した結果、さらに19名も感染者を増加させた。

 感染者たちが苦しみを訴えても、入管は、それに誠意をもって対処するどころか、大声で威圧して黙らせることしかしない。ふだんのまずくて質の悪い弁当のかわりに、経口補水液のような栄養物を出してくれることもない。医師の診療もほとんど提供せず、あったとしても電話での「問診」だけ。夜中、誰も見回りにこないので、容態急変したら命はないと、みな恐れている。

 「もしかしたら入管は わたしをころされるかも 本当に入管はこわい」。そう男性は書いている。これはまったく誇張ではなく、ふだんも、この非常時にも、入管にモノのようにしか扱われない彼らが、つねに感じていることなのである。





by p-dragon | 2021-03-10 22:24 | 入管収容・入管政策  

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