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Iさん裁判・第2回公判報告(判決は3/19)

Posted on: 2021年 02月 24日


 収容中に入管施設を糞尿で汚したとして逮捕・起訴されてしまったIさんの、第2回の公判が、2月24日15時30分、水戸地裁土浦支所で開かれました。今回は、前回より大きな第一号法廷となり、足を運んだ21名全員(記者含む)が傍聴することができました。

 今回が結審。判決言渡しは、3月19日(金)15時、同じ水戸地裁土浦支所(土浦市中央1-13-12)となります。


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公判の内容

 前回は、牛久の会の田中さんが情状証人として話をしたところで終わりましたが、今回はその続きです。

 最初は被告人質問。まず弁護人、つぎに検察官が、それぞれ約10分ずつ、Iさんに尋問しました。容疑の事実そのものについては、Iさんは争っていないので、事件の背景、動機、現在の心情、いわゆる「再犯のおそれ」等にかんする質問が投げかけられ、Iさんは一つ一つ冷静に答えていました。

 そのあと、裁判官もIさんに質問を投げかけました。入管に戻された場合、同じことをしないのかというのが、坂巻陽士裁判官の質問の主旨でした。Iさんは、問題の医師による虐待がなければ、自分はこんなことをやろうとは考えもしなかっただろうという点を強調したうえで、同じことをしないように努める旨、回答しました。彼は正直な気持ちを吐露しましたが、彼が普段こんなことをする人柄でないという点は、支援者も同感です。

 つぎに検察側による論告と求刑。懲役1年を検察官は要求してきました。これは、建造物損壊の刑罰が罰金刑なし・懲役5年以下であることをふまえると、比較的低い求刑だと思われます。

 これにたいして、弁護人の弁論。Iさんの国選弁護人を務める、篠﨑直樹弁護士(土浦篠﨑法律事務所)は、以下の事情を挙げ、情状酌量(つまり執行猶予、また量刑の軽減)が相当、との意見を述べました。まず、今回の事件の背景、つまり、入管医師による横暴な言動や、それにより彼がすでに事件以前に精神衰弱していたこと、入管収容施設の処遇に一般に問題があることを指摘しました。くわえて、Iさんが債務を(皆さまの寄附のおかげで)完済したこと、逮捕後に彼が冷静になり反省していること等を、つけ加えました。

 最後に、被告人の最終陳述。Iさんは4枚の手紙を書いていましたが、時間が足りなかったため、手紙は提出するだけにして、短く、現在の気持ちを語りました。涙ながらに、関係者には迷惑をかけて申し訳ないと、そして、自分は人生をやり直せると信じていたのに、あの医者に虐められたことで全てがめちゃくちゃにされてしまったと、彼は述べました。


入管はIさんを「反抗的」と印象づけようとしたが…

 一つ特筆したいのは、検察官が尋問で、Iさんが事件以前にも「隔離1回、制止・注意4回の規律違反をおこなった」ことに触れた点です。これは、入管が、検察への報告につけ加えたことです。Iさんを「反抗的」と印象づけ、より重い刑になるように促そうと、入管は考えたのでしょう。

 どうして規律違反したのか。そう検察官は尋ねました。

 Iさんは答えました。制止・注意については、よく覚えていないし、理由は説明されていない。私が理由を教えてほしい。(実際、制止・注意というのは、その場ではっきりと理由を含めて言い渡される処分ではないと思われます。)

 さらに「隔離1回」については、Iさんは驚くべき事情を暴露しました。いわく、隔離のことはよく覚えている。就寝時、電灯が明るすぎるので暗くしてほしいと職員に願い出るも、聞き入れられず、しかし寝つけないので重ねて頼んでいたら、懲罰房(隔離室)に連れていかれた、と。

 たったこれだけのことで、入管はIさんを隔離(事実上の懲罰)したというのです。ひどいというか、呆れてものも言えません。検察官も、この回答にたいしては、二の句が継げなくなり、次の質問に切り替えていました。

 牛久入管は検察をつうじて、Iさんが「反抗的」と印象づけたかったようですが、むしろ逆に、入管収容施設の処遇のひどさを裁判官に印象づけたように思えます。


どんな判決が予想されるか?

 どんな判決が出るか、はっきりした予想はつきません。建造物損壊には罰金刑はないので、無罪でなければ、かならず懲役刑になってしまいます。そして容疑の事実そのものは否認していないので、弁償を済ませたことや、事件の背景にある入管医師の虐待が考慮されたとしても、無罪が出ることは、残念ながらありません。

 そのため、執行猶予をつけてもらうことが弁護・支援の主たる目標です。

 検察側の求刑は1年と、比較的短いものでした。また、さまざまな情状酌量の材料があるので、それを裁判官が公正に評価すれば、量刑はより低くなる可能性も、もちろんあります。とはいえ、どうなるかは判決を見てみないと分かりません。

 少なくとも、情状酌量を促すために可能なことは、すべて実行できました。支援者(「牛久入管収容所問題を考える会」田中さん)を情状証人に立てたことにより、Iさんが入管に戻ってからも継続的な支援が得られること、それゆえに「再犯のおそれ」はないと言えることを、裁判官に示せました。そして何より、皆さまに頂いた寄附(その後「牛久の会」が集めたカンパも合算)のおかげで、入管が突きつけた「被害額」を全額返済することができました。

 公正な決定がなされることを願いつつ、判決日を待ちましょう。




by p-dragon | 2021-02-24 23:25 | 個人のケース  

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