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入管収容中に自殺未遂したAさんの続報と抗議

Posted on: 2019年 12月 11日

 東日本入管センター(牛久入管)に収容中で、再収容をきっかけに精神的異常を発症し、自殺未遂で24時間監視の医務室に監禁され、さらには収容中のケガのせいで片耳の聴力を失っている男性Aさんについて、先月、牛久入管に抗議声明を出した。

自殺未遂し、幻聴に苦しみ、鼓膜も破れている男性を再収容する牛久入管(11/7)

 本件について続報を伝えるとともに、牛久入管によるAさんの処遇の問題点を指摘する。


精神の病気について
  • 11月某日、Aさんは非常勤医師により統合失調症と診断された。
  • 11月21日頃、Aさんは医師の許可により一般の居室に移動。症状を抑制し自分をコントロールするために、一般の居室で他人と会話できることは有益だった。精神安定剤を服用しつつも、一般居室にいるあいだは一日一回程度しか発症せず、そのさいも他人から離れじっとしていれば症状は治まり、問題は起こらなかった。
  • ところが12月2日、Aさんはとくに問題を起こしていないのに、監視付医務室に再度移された。これに抗議するため、彼は一日三回の精神安定剤の服用をやめた。外界と遮断され会話相手もテレビもない医務室では、一日に何度も、幻聴、希死念慮、無意識の歩き回りといった症状に襲われた。12月3日、Aさんは無意識に自分の頭を壁に打ちつけてしまったため、当団体メンバー柏崎が面会したさいには頭に保冷剤を巻いていた。(これらのことについて当団体は12月6日付で牛久入管に抗議文書を送付。)
  • 12月6日ごろ、Aさんは再度、一般の居室に戻された。

片耳鼓膜の外傷について
  • 先の収容中に負った片耳鼓膜の外傷(聴力喪失)について、10月頃の短い仮放免期間に、Aさんはみずから診察を受けた。そのさい医師は、手術にくわえてリハビリが必要だが、2週間で再収容されてしまうのでは治療の計画が立てられないと本人に伝えたという。
  • 12月10日、Aさんは外部病院で受診。医師は、鼓膜が治りかけているので治療しなくていいと言った
  • 外傷による鼓膜穿孔は、軽度であれば自然治癒するのはたしかだが、重度であれば外科手術を必要とする。Aさんは、外傷を負ってから約半年の時点で、手術が必要という診断を別な医師から受けていた。それにもかかわらず、今では自然に治りつつあるから放っておけばいいという診断は、非常に疑わしい。当該医師は、入管の意をくんでAさんの症状を意図的に過少評価しているのではないか

 牛久入管は、Aさんを収容するかぎり、患者を公平にみる倫理的にまっとうな医師による診療をすみやかに提供する義務をもつ。くわえて、そもそもAさんが統合失調症を発症していること(長期収容のストレスおよび超短期再収容の恐怖が引き金であると考えるのが自然)を考慮すれば、彼が収容に耐えうる健康状態にないことは火を見るより明らかであるから、Aさんを即時に仮放免すべきである。





by p-dragon | 2019-12-11 22:41 | 個人のケース(証言・抗議)  

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