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医療を求める収容者の手紙を拒否する入管

Posted on: 2019年 07月 15日

 東京入管に2年ちかく収容されているDさんは、のどの異常、左顔面まひなどの症状に苦しめられ続けている。顔面まひについては、医師に「治らない」と放置され、のどの異常については一般的な薬(去痰薬、抗生物質)を処方されたが使っても効果がない。

 Dさんは2017年11月なかば、激しい痛みをともなう喉の異常を発症。2か月半後の2018年2月初頭、ようやく東京高輪病院で診療を受けた結果、百日咳と発覚した。その後、4月になると左顔面のまひを発症。のども痛みと違和感が続く。2018年2月に百日咳の診断が出るまで2か月以上も放置されたことにより、Dさんは有効な治療が受けられず苦しみ、非常に消耗した。それがなければ、のどはとっくに完治し、顔面まひも発症しなかったのではないかという疑念が、Dさんの胸にいつも去来している。

 今年6月13日、Dさんは東京入管に、病状の検査を求める手紙を提出した。

医務担当殿
 
 私はDと申します。

 現在、薬を飲んでいるけれども、効果がありません〔実際には今年1月末以降、服薬を拒否してきた〕。むねやけと首と背中の痛みがつづいている。頭部の左側がしびれもありますので、とても不安です。
 
 私の希望したいのはMRIやCTの検査させて頂きたいです。

 よろしくお願い致します。

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 ところが同日の夜、入管職員は、この手紙を取り下げろとDさんに命令した。そのかわりに頭の痛みの検査は後日受けさせると職員が約束したので、Dさんは従った。

 しかし6月19日、東京高輪病院に連れていかれると、頭の痛みを訴えているのに耳鼻科の医師で診察を受けさせられた。医師は、左顔面まひの症状が以前と変わらないことを確認して、診察を終わらせた。「頭の痛みはどうすれば?」とDさんが聞くと、医師は「気にしないで」の無責任な一言で済ませた。

 7月8日には、のどの異常について庁内診療(入管にくる非常勤医師の治療)を受ける。Dさんは、前に処方された薬は効果がないこと、痰やのどの痛み、異常感が治らないことを伝えたが、医師はよく検査もせず、昨年とまったく同じ去痰薬、抗生物質を処方した。なおこの医師も、東京高輪病院から来ている内科医であり、他にもいろいろ悪い評判がある。

 東京入管は、たまたま収容中にDさんが病気になっただけで、入管の責任ではないと主張するのだろうが、すくなくとも、2か月以上もの医療放置には責任があるし、その後もDさんの訴えを真剣に聞いていないという問題もある。さらには今回、Dさんの書面による訴えを握りつぶし、記録に残らないようにした。この不正を告発するために、私たちはDさんから得た情報を、以上のとおり公開するものである。
 



by p-dragon | 2019-07-15 08:46 | 個人のケース(証言・抗議)  

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