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日本生まれの笠原カルロス圭一さんの長期収容

Posted on: 2019年 02月 14日

 日本生まれの笠原カルロス圭一さんは、国外退去を命令され、4年近くも入管に収容されています(現在、牛久入管に収容中)。今年1月、カルロスさんはうつ病との診断を受けました。このたび当団体が牛久入管所長に送った意見書を、ご本人の希望にそって公開します。

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2019年2月14日
東日本入国管理センター所長 様

笠原カルロスさんの長期収容にかんする意見書

 笠原カルロス圭一さん(1993年生)は、2015年4月に(当初は東京入管横浜支局に)収容されてから現在にいたるまで、3年10か月もの長期にわたって入管に身体を拘束されており、現在までに彼がおこなった仮放免申請は15回に及びますが、ことごとく不許可にされています。

 以下に挙げる理由により、この長期収容は笠原さんにたいする許容しがたい人権侵害であると考えます。したがって、彼の収容を即時に解くことを要請します。

1 長期収容による人権侵害
 笠原さんが受けているのは、すでに4年半をこえ、しかも今後いつまで続くかも分からない拘禁です。この長期収容は、送還執行のための一時的措置という入管収容の建前とは明らかに矛盾しており、そして在留資格がないという理由だけで人間に強いるにはあまりに厳しく残酷なものです。

 笠原さんは鼻の骨が曲がってしまっているため、手術が必要です(鼻中隔湾曲症)。しかし彼は、収容のためにそれができず、かといって入管が彼に必要な医療を提供するわけでもありません。この点で、彼の収容継続は身体的な拷問にもなっています。このことに関連して、国連の拷問委員会が日本の入管収容にかんして表明している懸念のなかに、適切な医療へのアクセスの欠如が含まれている点も想起されるべきです。

2 笠原さんにたいする退去強制命令のはなはだしい非人道性
 笠原さんは日本国籍をもたないとはいえ、日本で生まれ育った、日本社会の実質的な一成員であり、彼が現実に属していると言える国は日本以外にありません。彼を送還対象者として収容しつづけることは、はなはだしく非人道的な措置です。

 私たちは本人から次のように聞いています。笠原さんは、日本で、ドミニカ国籍の父親とコロンビア国籍の母親のあいだに生まれた、日系三世です。永住資格をもっていましたが、両親の離婚にともない、何度か母親とともにコロンビアに渡航したことを理由に、在留資格を一年更新の定住に格下げされてしまいました。なお、彼の父親と家族は日本に暮らしつづけている一方で、彼の母親は再婚のためドイツに移住しており、ドミニカにもコロンビアにも彼の生活を支援してくれる人はいません。

 その後、2014年5月、20歳のときに、笠原さんは大麻所持の容疑で逮捕され、懲役6か月、執行猶予3年の判決を受けました。刑務所には入らなかったものの、この判決を理由に在留資格を更新されず、自動的に非正規滞在者とされてしまったことにより、2015年4月から彼は入管に収容されています。

 日本で生まれ育った笠原さんが、法的地位の違いという理由だけで、一度でも違法薬物所持の罪を犯せば更正の機会も与えられずに国外追放されるというのは、あまりに不公平で非人道的です。しかも無期限の入管収容は、笠原さんにたいする実質的な二重刑罰といえます。これこそ、国籍に関係なく保障されるべき基本的人権を無視する、不法な措置です。笠原さんの収容を直ちにやめるべきと考えます。

SYI(収容者友人有志一同)

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by p-dragon | 2019-02-14 20:47 | 個人のケース(証言・抗議)  

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