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入管収容施設での自殺 当局への抗議と要求

Posted on: 2018年 04月 20日

 以下は、東日本入管センターにおけるクマルさんの自殺と、収容者によるハンガーストライキの開始を受けて、当団体が4月20日付で当局に提出した文書です。クマルさんの収容から自殺までの経緯についても触れています。また、以下の三点を当局に要求しています。

 1 本件の責任にかんする厳しい調査
 2 本件にかんする責任者の処罰および東日本入管センター所長の免職
 3 長期被収容者の仮放免

 FAXや電話や郵便で、当局に抗議を届けてください!
 
 東日本入国管理センター
  300-1288 茨城県牛久市久野町1766-1
  電話 029-875-1291
  FAX 029-830-9010

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東日本入国管理センターでのインド人男性の自殺にかんする抗議と要求

 法務大臣 上川陽子 様
 東日本入国管理センター所長 清水洋樹 様

 4月13日、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)に長期収容されていたインド人男性D. クマルさんが自殺しました。クマルさんは、残念ながら当団体が面会していた方でした。この件について当団体は、同センター所長および法務省の責任を厳しく追及するものです。

自殺の経緯 生前のご本人、および同ブロックの収容者からの聞き取りをつうじて、当団体はクマルさんの経緯を次のように把握しています。

 クマルさんは、2017年4月に来日し、難民申請。彼は出身地での迫害の恐れを抱いていました。3ヶ月後の7月、在留資格の更新を認められず東京入管に収容(このさい難民不認定が通知されたと思われます)。12月に東日本入管センターに移送。今年2月に面会したさいには体重が収容前から7.8キロ減ったと言っていました。もともと日本語は知らなかったものの、収容中に熱心に勉強したようで、基本的な会話ができるようになっており、ご本人の希望で日本語の教本を差し入れました。自殺の前週には、法テラスに電話相談し、弁護士との面会予定も作っていたそうです。

 しかし自殺の前日、彼は仮放免申請の不許可を通知されます。自殺当日の午前、彼は同じブロックに収容されている友人に「3ヵ月が無駄になっちゃったよ」と告げ、テレフォンカードを友人に譲りました。その後、彼はシャワー室に行き、帰らぬ人となりました。発見時の状況から、彼がタオルで首をつって自殺したことは明らかです。

当局の責任 同センターは報道にたいして「適正な処遇をしていたがこのような事態になってしまった」(NHKウェブ茨城「入国管理センターでインド人死亡」4月13日)と、またクマルさんが「不法残留」で「退去強制処分になっていた」(茨城新聞4月14日)とコメントしています。いずれも当局の責任を隠そうとする不当なコメントに他なりません。クマルさんは難民申請者でした。彼への処遇は、難民申請についても収容についても「適正」では決してなかったはずであり、徹底的な調査を要します。インド英字新聞Tribune紙の報道(Ludhiana man dies in Japan, kin seek probe, 4月16日)のとおり、インドにいる遺族もまた真相究明を日本政府に求めています。

 東日本入管センターと法務省の責任は、施設管理の面で収容者の自殺を防げなかったことではなく、クマルさんの帰国できない事情を鑑みず、彼の難民認定を拒否し、強制送還の対象者として収容施設に監禁しつづけ、彼を死に追い詰めたことにあります。

 近年、各地の入管は収容を長期化させていますが、東日本入管センターではとりわけ長く、2年、3年と収容されている人すら珍しくありません。送還対象者における自費出国者の割合が毎年95%前後という数字が示しているように、無期限の収容は、送還を強い、しかも自費で出国させるための手段として、事実上機能しています。それゆえに入管収容施設は、いつ自殺者が出ても不思議ではない環境となっています。くわえて、医療体制とくに緊急医療の不備のために、急病で命を失う収容者も後を絶ちません。ロイター通信によれば、各地の入管収容施設での死者は、2006年以降に限っても14人が死亡しています(Indian man dies in Japanese immigration detention center in apparent suicide, 4月13日)。

ハンガーストライキ クマルさんの自殺に衝撃を受け、東日本入管センターの被収容者はハンガーストライキを行っています。彼がいた5Aブロックから始まり、4月18日の時点では140人がハンガーストライキに参加していると、当団体は他の支援団体から聞いています。東日本入管センターでは、クマルさん同様に、あるいは彼以上に、長期にわたって収容されている人ばかりです。こうした人々の人権や、日本を出国できない事情を、当局は最大限に配慮すべきです。

 以上の理由により当団体は、以下を要求します。

 1 本件の責任にかんする厳しい調査

 2 本件にかんする責任者の処罰および東日本入管センター所長の免職

 3 長期被収容者の仮放免


2018年4月20日
SYI(収容者友人有志一同)





by p-dragon | 2018-04-20 00:00 | 入管収容の実態(報告・声明)  

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