法務省入国管理局長 様
東京入国管理局長 様
入国管理行政とくに収容における人権侵害への抗議
私たちは現行の入国管理行政、とくに収容における、人を人とも思わない諸措置に反対します。
日本には、正規の在留資格なしに、または短期の不安定な資格のまま長く日本で暮らしている、多くの移住者や難民申請者がいます。
こうした人々は、社会の実質的なメンバーであるにもかかわらず、健康保険などほとんどの社会サービスから排除され、基本的権利を保障されずにいます。
こうした長期在留者にたいして、当局は在留を認め、ビザを出すべきです。
難民についても、現在の不当に厳しい審査手続を抜本的に改め、もっと多くを受け入れねばなりません。
難民条約締結国でありながら、一万人程度の難民申請者をすら受け入れないのは恥ずべきことです。
しかしながら昨年から当局は、上述のような人々への管理と制限をむしろ強めています。
職員がたびたび仮放免者の家を嗅ぎまわる。
住所変更が遅い、無断で住所外の県に移動した、無断で仕事をした等の理由で仮放免者を再収容する。
再収容のさい仮放免保証金の一部を没収する。
長らく在留資格「特定活動」の難民申請者にたいして審査の進捗に関係なく資格を取り消す、等々。
仮放免者の移動や就労を規制することは、基本的人権の侵害でしかありません。
保証金の没収など、弱い立場の外国人からの搾取としか言いようがありません。
収容環境も相変わらずひどいものです。
収容施設は刑務所ではないのに、まるで刑務所のように起床から就寝までの生活時間が管理され、携帯電話を使わせないなど外部との通信を不当に制限しています。
東京入管では、同施設の被収容者間での手紙のやりとりすら切手を買わせ、郵便扱いでやらせています。
食事も、いまだに腐ったものが出てくることがあると聞いています。
職員による被収容者のいじめ、嫌がらせも起きています。
とくに東京入管の職員「B1072」が被収容者を「お前」呼ばわりし、怒鳴り、高圧的な態度をとることを、複数の被収容者たちが報告しています。
今年6月中旬からは、収容施設内が全面禁煙になりました。
当局は「受動喫煙の防止」を理由としていますが、それ以前に施設内の分煙は完全に行われており、全面禁煙の必要はなかったはずです。
むしろ禁煙を強いられるストレスで精神的に憔悴している被収容者がいます。
そもそも当局による収容こそが対象者の心と体の健康を蝕んでいるのであり、当局に他人の健康を云々する資格はありません。
東日本入管センターで3月に、数日間も苦しみを訴え続けたにもかわらず職員に放置されたまま亡くなった被収容者の件は、記憶に新しいところです。
東京入管処遇〔訂正: 違反審査〕部門職員の石井氏は8月14日、抗議団体との面会時に「入管は法律通りにやっている、正しい」と述べましたが、国家が権力を笠に着て弱い立場の外国人の権利を踏みにじり、あげくには命まで奪うことの、どこが「正しい」のでしょうか。
むしろそれは、国内法を口実として、国際社会のすべての人間にたいする平和と友好の義務を、日本国家は無視すると宣言しているも同然ではないでしょうか。
このようなやり方では、いずれ日本が世界の国々から見捨てられる日が来るでしょう。
以上について入管当局に厳しく抗議するとともに、次のことを当局にたいして要求します。
1.すべての収容をやめること。すくなくとも再収容者、健康状態の悪化した被収容者から優先して解放し、また三ヶ月以上の収容は即時にやめること。
2.在留資格のない長期在留者に在留資格を出すこと。また難民審査の基準を少なくとも他の難民条約締結国なみに改善すること。
3.仮放免者に移動制限と就労禁止を課すのをやめること。
4.被収容者を暴力的に扱っている東京入管の職員「B1072」の名前と役職を公開すること。
5.収容施設の全面禁煙をやめ、以前の状態に戻すこと。
2017年9月4日
SYI(収容者友人有志一同)