2017年6月18日に 「入管の人命軽視を問う」として集会を行いました。
2017年3月に牛久にある東日本入国管理センターで 入管の人命軽視によって放置されてなくなられたグエンさんの死亡経緯の説明。
体調不良を訴えたグエンさんに対して亡くなるまで放置した、入管の責任を問う必要性を明らかにし、入管の状況の改善を模索すること。
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まずは高橋ひろみ弁護士(恵比寿西法律事務所)から、入管における医療問題を中心とした解説を行っていただきました。
収容所の中の生活とストレスによって、収容の数ヶ月の目で心身の健康状態が悪化するのが外面的にも顕著にわかるという話がありました。
さらには、健康問題があると判っていても収容する場合があるとつけ加えられました。
収容所内の診療の場面については、職員を介した医師とのコミュニケーションも十分とは言えないとの説明がありました。
これでは、患者の不安は解消されないものと想像されます。
そのほかにも、薬の過剰投与、痛み止めの飲みすぎの副作用によるむくみ等が、ずさんな医療環境の実例として紹介されました。
また、仮放免後に診療情報の引継ぎができていないとの言及もありました。
高橋弁護士による報告は、収容所の中での医療問題のせいで健康状態が悪化した方について、仮放免後の生活への悪影響にも留意を促すものでした。
外部診療時(外の病院で診察を受ける際)に、手錠や腰縄をつけるなどの状況があるとのことも、印象にのこりました。
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続いて、収容経験のある方々から報告がありました。
どのかたの報告も、まだまだ話し足りないといった様子で、非常に熱のこもった物になりました。
ある報告者からは、同室者の死亡事故に際し、法務省に連名レターを書いた結果、入管職員からの不満を買ったため収容期間が延びたと思われるケースの報告がありました。
仮放免の判断を下す入管収容所側の裁量の大きさを窺わせるもので、収容所の中の状態だけでなく、仮放免の判断基準にも、さらに外部からの目が届かなければいけないのではないか、と思わされました。
入管内の医療状況についても、複数の方から、具体的な事例とともに問題点が指摘されました。
いくつかを挙げます。
・施設内の医師は、ほとんど薬を出すだけの処置しかしない。
・医者から、税金で薬を出しているとのいやみを言われる。
・週末医師不在のため、骨折でも週明けまで放置させられる。
・急病時の対策に問題がある。
・またいつ死亡事故がおきてもおかしくない。
死亡事故まで起こし続けている医療環境の中で、当たり前のように収容者が脅かされている様子が伝わってきました。
報告者の一人からは、ご兄弟が統合失調症であるにもかかわらず収容され、家族と離され、精神的負荷の大きい入管施設で苦しんでいるとの危機的な状況の報告もありました(その後しばらくして解放されました)。
別の報告者からも、発言のなかにTorture(拷問) という単語が何度か聞こえてきました。
高橋弁護士、及び報告者の方々からの情報は、その言葉の通り、収容が収容者を肉体的・精神的に痛めつけることになっている事を示していました。
当日集会で配布された資料にも、過去に起きた死亡事故のリストが添付されており、問題点が改善されていない様子が見て取れます。これを見ると、これまで起きた医療事故は、どこまで本当に過失といえるのか、大変疑問に思われました。
このように改善されない環境が存在し続けることは、もはや恣意性をすら疑われても不自然ではないのではないでしょうか。
その他、集会に参加された方々からも積極的な質問・発言が飛び交いました。収容と入管の医療の問題がより広く具体的に知れ渡るきっかけの集会になったのではないでしょうか。