外国人の出国の権利すら奪う日本の入管 ダヌカさんの即時解放を!


 私たちSYIは、入管による非正規滞在の外国人の収容と送還に反対しています。ところが今回、入管が外国人の出国の権利すら奪っているという事実が発覚しました。スリランカ国籍の男性ダヌカさん(1982年生)は、2010年11月から6年以上も帰国を妨害されつづけ、現在は東京入管に収容されています。なぜこんなことが起きるのか。ダヌカさんの証言からは入管のさまざまな問題が見えてきます。

ダヌカさんの入国の経緯
 ダヌカさんは1998年に来日し、超過滞在で就労していましたが、2008年に送還されました。彼は偽造パスポートを使い、別人の名前で入国していました。入国当時に未成年だったので単身での入国を許可されない可能性が高かったためです。しかしそのことに入管は気づかなかったのか、不法残留を理由として彼に退去強制を命じました。
 ふたたびダヌカさんが日本に来たのは2010年11月です。ダヌカさんはスリランカで貿易の会社を興しましたが、日本にいたころの知人に紹介されたヤマモトヒロシという人物に商談を持ち掛けられ、スリランカから日本への健康食品の輸出を始めることになりました。そのためにダヌカさんの会社は、スリランカ国営の医療品製造会社と契約を結びました。ところがその直後ヤマモトから、今後に取引を続ける資金がなくなったため、500万円をヤマモトの会社に投資するよう勧められました。ダヌカさんは怪しいと感じましたが、すでにスリランカ政府と契約を結んでしまったため、かんたんに手を引くこともできず、日本に来てヤマモトの会社の実態を確かめてから判断しようと考えました。
 案の定、ヤマモトの会社はペーパーカンパニーで、海外の貿易事業者に商談を持ち掛けてお金をだまし取る詐欺集団でした。しかしそのことが判明したとき、ダヌカさんの身には危険が及んでいました。2010年11月4日、成田空港に到着したダヌカさんをヤマモトは空港で迎えると、千葉県八千代市内のアパートに連れて行き、そこで21日間軟禁し、金を「投資」するよう圧力をかけ続けました。

詐欺と誘拐を無視する入管

 同月25日、東京入国管理局千葉出張所職員および千葉県警八千代警察署職員がアパートを訪れ、ダヌカさんをいったん八千代警察署に連行したあと、すぐに東京入国管理局に移送しました。入管は、ダヌカさんが受けた人身被害のことは無視して、彼が最初に入国したさいの入管法違反のことだけを尋問しました。しかも信じられないことに、ヤマモトがそしらぬ顔で入管まで面会に訪れ、自分のことを他言しないようにとダヌカさんを脅したそうです。これでは、ダヌカさんからお金をだまし取ろうとし、さらには誘拐まで行った詐欺集団を、入管はかばっているも同然です。
 毎日のように入管職員にどなりつけられ脅されることで、ダヌカさんは精神的にも身体的にも憔悴していきました。

入管にだまされ他人の名前で懲役2年に
 ある日、入管職員がダヌカさんに奇妙な約束を持ちかけてきました。入管の指示に従えば、前回の来日時の名前で一時帰国用のパスポートをスリランカ大使館に申請し、ぶじ帰国させるというのです。ダヌカさんは一刻も早く帰国することだけが望みだったので、この約束に応じ、一時帰国用パスポートの申込書を提出しました。
 しかし入管は約束を守りませんでした。入管は、ダヌカという名前(1998年入国時に使用した名前ではなく)が他人の名義であるという虚偽の調書を作成し、さらにはダヌカさんが帰国のために裁判を受ける必要があると伝えたうえで、彼をふたたび八千代警察署に移送しました。警察署では本名で外部と連絡をとることが禁止され、会社の関係者と連絡をとることができなくなりました。こうしてダヌカさんは入管に言われるままに裁判を受けた結果、他人の名前で懲役2年の実刑を受けることになったのです。

スリランカ大使館は身元を証明しているのに...
 ダヌカさんは刑期を終えると、そのまま入管に収容され、2013年11月に仮放免されました。その間ダヌカさんは、彼の本名を偽名とみなす入管の誤った決定を正すために、文書を提出したり、スリランカ大使館に身元を証明してもらったりしました。しかし、それでも状況は改善されなかったので、ついに彼は裁判に踏み出します。
 入管はスリランカ大使館に働きかけて、ダヌカさんのパスポートをブラックリストに登録させることに成功すると、そのことを入管側に都合のいいかたちで報告書を作成しました。しかしスリランカ政府の調査の結果、彼のパスポートはブラックリストから解除され、そのことをスリランカ大使館は入管に文書で知らせています。しかしダヌカさんによれば、証拠を効果的に使うことができなかったため、裁判に勝てませんでした。その後、2017年7月、ダヌカさんはふたたび入管に収容されてしまいます。

執行できない退去強制令書
 当然ながら、スリランカ政府は他人の名前のパスポートをダヌカさんに発行することはありません。したがって、入管がダヌカさんに発布している退去強制令書は、執行できない退去強制令書なのです。ダヌカさんは今、みずからの意志で帰国することも、強制送還でスリランカに戻ることもできません。入管はそのことを分かっているはずなのに、みずからの誤った判断を取り消そうとしません。
 いま東京入国管理局に収容されているダヌカさんは、職員から「あなたに本名を名乗る権利はない」と暴言を吐かれ、入管が登録している名前で書類を書かなかったことを理由に私物を没収されるなどの権利侵害を受けています。

ダヌカさんの即時解放を!
 問題の発端は、入管がダヌカさんの本名を偽名として扱ったことにあります。ダヌカさんを不法入国で告訴するために、事実を捻じ曲げたのだと推測されます。入管にだまされたせいで、いまだにダヌカさんは帰国することができず、収容施設に拘禁されています。過去に彼が身分を偽って入国したことが問題だとしても、そのこと以上の不正を入管はダヌカさんにたいして行っていると言えます。そもそもスリランカという一つの主権国家がダヌカさんの身元を確証している以上、それを日本の行政や司法が争う筋合いはありません。
 SYIはダヌカさんの即時解放と、彼が自分の意志で自由に出国することの保障を、入管に要求します。くわえて報道関係者各位にはダヌカさんへの取材を求めます。ダヌカさんは彼の問題が広く知られることを希望しています。




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by p-dragon | 2017-12-27 17:58 | 入管内からの声  

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