12.8 チャーター機強制送還について

12月8日、法務省入国管理局は、タイ国籍者約50人を、チャーター機でタイへ一斉に強制送還しました。私たちSYIは、この措置に怒りをこめて抗議するとともに、いかなる点においてそれが問題であるのかを、あらためて世に訴えます。

以下は、今回の送還にかんする、法務省からの発表の垂れ流し報道です。

NHKニュース:タイ人約50人チャーター機で強制送還
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131208/k10013668861000.html

入管のチャーター機一斉送還は、フィリピン人を対象とした7月の送還にひきつづき、今回で2度目となります。前回の送還にたいする私たちの抗議は、以下にあります。

チャーター機による強制送還および移民の「不法」化への抗議(2013年7月)

強制送還という措置それ自体が、手荒く非人道的なもので、入管が自称するような「安全」な措置とはかけ離れているということは、改めて言うまでもありません。7月の送還では、スタンガンが用いられたこと、飛行機内でも手錠と腰縄が外されなかったこと、ドアを閉めてトイレを使用することすら許可されなかったこと、等々の、当事者からの証言がありました。APFSの報告によれば、今回も「日本に居住しているパートナーや実子と離ればなれに」された人や「打撲した」人が出ているようです(http://apfs.jp/event20131211_2477.php)。

しかしながら、強制送還という手段だけが悪いのではなくて、そもそもの問題は、すでにそれなりの年月を日本国内で過ごしてきた人々から、あらゆる権利を剥奪してしまう、日本の入管行政です。

いわゆる「不法」滞在(より中立的に言えば非正規滞在)とは、ほとんどの場合、ある外国人が有効なビザをもっていないということを、つまり、許可された在留期間をこえて、あるいは入管が定めた在留条件の外で滞在していることを指します。在留の期間や条件は、住所変更のように本人の届け出がそのまま反映されるのではなく、入管の判断で上から課される制約です。この制約に外れた人(オーバーステイ、資格外活動)が「不法」と見なされ、まるで犯罪者であるかのように扱われるわけです。

ところが実際には、とくに1980年代以降、日本社会が外国人労働者を利用するようになるなかで、ビザのない外国人もまた、低賃金や重労働の部門で多く雇用されてきました。その一方で、入管が「不法滞在の撲滅」「ルールを守って国際化」などと言い出し「非正規滞在者ゼロ」に向けた動きを展開するのは、2000年代も半ばになってからです。逆に言えば、その時点まで入管は、日本の雇用者たちが安い労働力として非正規滞在の外国人を利用するがままに、それを放置していたのです。要するに、それまで容認されてきた非正規滞在者たちは、ある時期から突然、厳格な排除と追放の対象となる危険にさらされるようになったわけです。

APFSの報告によれば、今回送還された「46名」のタイ国籍者のなかには「20年以上」日本に在留していた方が「13名」含まれていました。とくにこうした長期在留者は、家族や生活基盤をもち、日本社会に深く根ざし、故郷にはもはやほとんど身寄りもないという状況にあります。そうした人たちがこれまで築いてきた生活条件を、人間関係を、また財産を、入管は破壊したのです。この13名以外にも、多くの中長期在留者がいたでしょうし、そうした人びとは程度の差はあれ同様な状態にあったことでしょう。

あるときは低賃金労働力として利用し、あるときは犯罪者と名指して追放する。いわゆる非正規労働者に対して入管がおこなってきたのは、また今回のチャーター機送還でまたも再現されたのは、そのようなことなのです。強制送還はどこの国もやっていると言う人はいるでしょうが、しかし強制送還それ自体だけが問題なのではなく、このように外国人を自国の都合にあわせて使い捨てることをよしとする、この国のトータルな入管政策が問題なのです。

最近この国では、原発政策、改憲問題、秘密保護法の強権的な可決、等々にさいして、民主主義の危機が叫ばれています。たしかに、この国の民主主義はますます蝕まれています。つけ加えれば、財界や政界の都合にあわせて、移民あるいは他民族を利用し、搾取し、あげく使い捨てるような国は、すべての人間の平等という民主主義の基本的価値を、そもそもまじめに守る気がない国だと言えるでしょう。だとすれば、この国の民主主義を考えなおすには、日本の入管政策は、直視すべき問題のひとつであるはずです。

法務省は来年度以降も、チャーター機の予算を組むでしょうから、一斉送還が今後もくり返されることは確実です。それが「どの国もやっていること」とか「法に違反した外国人が悪い」とかいった口実とともに容認されつづけるかぎり、この国の根深い排外的、非人道的、反民主的な風潮を変えていくことは難しいでしょう。
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by p-dragon | 2013-12-22 06:45 | 声明・情報・考察  

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