東京入管 収容者からの手紙

 現在、東京入管(品川)に収容されているかたから、仮放免者の会、そしてわたしたちSYI宛に、お手紙をいただきました。このかたは、子どものころ日本人の親とともに来日、20年以上をこの国で暮らしてきた日系ブラジル人二世です。まずはお読みください。

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意見書

外国人人権保護団体
仮放免者の会:団体長殿
SYI:団体長殿

 先ず第一に我々外国人の為、多大なご活動をなさって頂き、東京入国管理局に今もなお収容されて居る全ての外国人を代表して心から感謝の意、申し上げたいと存じます。誠に有り難うございます。あなたがた様のお陰でどれだけの人間の心が救われた事でしょう。
 申し遅れましたが、私はブラジルから来日しました日系二世のブラジル人です。東京入管に収容されてしまい4ヶ月以上経ちます。それは自分が以前に刑罰を受けたからです。つきましては、日本国憲法を犯しました事は弁解する余地も無く心からお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません。
 犯罪を犯しました事は事実であり、刑務所で罪を償って参りました。今は自分のやった事を反省し後悔して居ります。誠に申し訳ございません。
 本来ならば入管法が定める強制退去処分は妥当な法的措置に見えるかも知れませんが、必ずしも正しい法的措置とは思えません。その入管法の中身も相当に曖昧である。
 私と同様、刑事処罰を受けているにも拘らず放免者が居ます事実は、私にとって大変理解し難い事であります。自分と放免された人間と何が違うのでしょうか。誠に理解に苦しみます。何を基準にして収容された人間を放免しているのか理解不能な事ばかりであります。
 最終的に法務大臣に対し異議申し立て嘆願書を提出しましたが理由が無いと裁決した旨の通知を受けただけであります。一方では理由有りと裁決され、放免された者も居ります。その理由とは何の事でしょうか。全く理解出来ません。
 私は小さな頃10歳ぐらいの時に両親と共に来日しました。父親にとっては日本への帰国でした。その日から20年以上経ちます。母国には一度も帰って居りません。生活基盤は日本に有り、母国には知人誰一人も居りません。別な言い方をすれば、法務省東京入国管理局局長は、あなたの様な外人は日本から帰って死ね、と言っている様なものです。
 何故なら、私はブラジルに家族はおろか知人誰一人居ない事を知りながら、更に自分がポルトガル語を話せない事を知ったうえで強制退去を決めたのです。
 人間に対する人権尊重の一欠けらも無い行いの様に思えます。何故ならば在留特別許可という物が有るにも拘らず、それを許可しなかったからであります。この自分のケース「20年以上国内に滞在、また父もしくは母がその国の国籍を有する人であるなら」欧州またアメリカ合衆国、南米でさえ強制退去など有り得ない事であります。併し乍らどうしても強制退去をしなければならないテロリストなどは別だと思われます。
 私は確かに犯罪を犯しました。けれども自分の過ちは多くの日本人も同様な過ちを犯してしまって居ます。誠に申し訳なく思いますし、心からお詫び申し上げます。そして残念でなりません。
 つきましては、私はテロリストでもなく、人殺しをやった訳でもございません。犯罪は誠に許し難い事であり、法を犯しました事を心から反省して居ります。ですが日本から、家族から、強制的に退去、自分の人生に終止符を打たれるほどの事をやったとは思えません。日本国籍の父と兄を持ちながら、何故強制退去をしなければならないのか理解出来ません。欧州また合衆国ならば、強制退去命令が採決されたならば、即時に施行される。日本入国管理局の様に、人間を長期的な精神的なストレスとダメージを与えて自主的な退去に追い詰める為の施設は他国では無い物と思われます。日本国政府は国際交流を謳って居りますが、実際の実状は全く違って居ます。日本の入国管理局、日本政府は、90年代に来日した日系ブラジル人を国外退去推進し、多くの日系二世、三世のブラジル人や他国籍の人々に在留資格の更新を意図的に拒否して居ます。
 90年代に来日した外国人、特に南米から来日した人々は日系二世とその家族でした。それは日本政府が日系二世以外の入国を拒否して居たからです。
 その多くは、日本の企業に誘われ来日しました。日本がバブルで潤えて居たからである。そして今現在、不景気の為、この様な形で切り捨てることは、誠に遺憾であり、卑怯である。
 1908年から特にブラジルへ、日本人の移民が始まりました。そして戦後になって立場が逆になって居た日本とブラジル、ブラジルのサントス港に毎日の様に日本から来る人々で溢れて居ました。1908年、移民が始まった当時、ジャングルの開拓と重労働、辛く厳しい物だったと思います。併しそれが条件でした。その事を日本政府は日本国民に伝えなかったのです。それでも日本人はブラジルで頑張って、今の日系二世、三世が居るわけである。更に日本は戦争に突入、ブラジルに来る日本人はますます増加して行きました。その過程でブラジルの経済が悪化して行きましたが、今の日本の政府の様に切り捨てる事はありませんでした。また日本人の犯罪者も無論居た事は言うまでもなく居ました。併し乍らブラジル政府は日本人に対し強制退去などして居ない筈です。
 日本政府ブラジル人に対しビザの拒否また強制退去施行する事は誠に遺憾であり人権の冒涜する行為と存じます。
 ブラジルが受け入れた日本人の数は数百万人と推測します。にも拘らずこの様なブラジル人に対する仕打ちは誠に無情であります。日本人の移民100年以上経つのに残念です。
 ここまでは個人、またブラジルがかかえる問題ですが、こちらに他国籍の人間が多く収容されて居ります。何も悪い事をして居ないにも拘らず酷い扱いをされて居ます。
 ある者は日本人女性と結婚して居るにも拘らずビザを拒否されて強制退去、仮放免を何度も不許可にされ自主帰国、またある者は家族の一員が重病にも拘らず仮放免を不許可にされ自殺を図り、幸いにも命に別状はありませんでした。
 数年前になりますが、私の友人が精神的に入管に追い詰められ、茨城の入管で自殺してしまいました。彼は本当はとてもやさしい人でした。誠に遺憾であります。
 また、何人もの人間がこのなかで肉体的に更には精神的な病気になっても、なかなか病院に連れて行ってもらえず苦しんでいます。
 私はこの入管の扱いは、誠に酷く、人間の人権に反するものであり、無情且つ違法であると存じます。
 なお全ては真実である。

以上

追伸
安い人件費を確保する為、研修生や留学生を日本に呼び付ける事を即刻止めるべきである。人間は物ではない。また、ここまで外国人を嫌うならば最初から日本に外国人を受け入れるべきではない。私達の様に切り捨てられる人間を増やすな
日本政府は外人が嫌いである」と政府関係のサイトやホームページに外国人でも読める様に表示しろ。偽善者の国際交流など有り得ない。国際交流のフレーズを即刻止めろ!


2011年04月25日
収容者: 鈴木啓三ロベルト
Jailed: Roberto Keizo Suzuki
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 ご承諾をいただき全文を転載させていただきました。これは、外国人を「ひと」として見ず、使い捨ての「労働力」としか扱わない日本にたいする告発状です。鈴木啓三ロベルトさんの出身国であるブラジルは、日露戦争後(1908年~)そして第二次世界大戦敗戦後(1953年~)の過去二度に渡り、日本からの移民をたくさん受け入れた国です。そのころの日本はいずれも失業者が増大するなか戦地からの復員あるいは満州・朝鮮半島など植民地からの引揚者を帰国させねばならず、可能なかぎり早急に、余剰な「労働力」をあらたに海外に次々と送り出す必要があったからです。政府の肝いりで移民の募集・送り出しを行なった業者の勧誘には甘言や嘘がたくさん含まれていました。大きな夢を抱いて家族単位で他国へ渡った移民たちが、大変な苦労や想像を絶する困難を強いられたあげく、事実上「棄民」化された歴史を、わたしたちはもっと知るべきです。
 日本政府は、1990年バブル好景気の絶頂期に行なわれた入管法改正によって、単純労働を目的とした外国人労働者を拒否するかわりに、日本にルーツを持つ日系人(2世、3世)の積極的受け入れを開始しました。ブラジルをはじめとする国々から日系人が出稼ぎに訪れましたが、その多くは、結局のところ、担い手不足におちいった単純労働、とくに3K(きけん、きつい、きたない)労働と呼ばれる低賃金労働に従事せざるを得ませんでした。それから20年。長い不況の時代を迎えたいま、在留資格を奪う、更新しないという形で真っ先に切り捨てられているのが、日系人を含む外国籍の人々であることはいうまでもありません。
 必要な時には「準日本人」として大量に受け入れ、日本に同化することを強制し、不必要となれば「外国人」として強制的に追い出す。日本に育ち日本語を話し、家族や生活基盤もすべてこの日本で築いてきたひとを、不法滞在者として収容所に収容し、心身ともに徹底的に痛めつける。賃金や教育の機会など生存・尊厳にかかわる諸権利においては差別冷遇を当然としながら、刑罰だけは日本人並みかそれ以上に科し、さらに在留資格を剥奪する。
 誰かを殺すことでしか生きられない社会は、誰をも幸せにはしません。わたしたちは、この社会がペーパーひとつでひとびとを「棄民」化しつづけることに反対します。


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by P-dragon | 2011-05-20 01:02 | 入管内からの声  

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