【申し入れ文】西日本入国管理センターおよび入管諸施設での被収容者への待遇にかんする抗議と要請

法務大臣 千葉景子 殿
法務省入国管理局長 西川克行 殿

西日本入国管理センターおよび入管諸施設での被収容者への待遇にかんする抗議と要請

 最近の、法務省・入国管理局および入管センターでの、度重なる人権侵害の知らせについて、私たち収容者友人有志(SYI)は、当局に対して厳重な抗議を申し入れます。
 昨年夏ごろから、入国管理局による移民・難民の収容件数がいっきょに高まり、また収容期間も目に見えて長期化しています。相手が難民認定申請者であれ、それまで長期にわたって仮放免を出してきた者であれ関係なしに、なりふり構わず収容件数を高めていることが、如実に見て取れます。
 大阪の西日本入管センターでは、日に日に悪化していく収容状況にたえかねて、男性被収容者全員が、本年3月8日にハンガーストライキを起こしました。しかし、当局は待遇改善の要求を拒否し、徹底した弾圧で応えました。
 また、品川の東京入国管理局には、本年3月現在、700人にも及ぶ外国籍者が収容されています。彼らは、まともな食べ物や飲み水をとることさえ制限され、外部との通信手段を著しく限定されます。長い収容期間中に多くの被収容者が身体や精神の健康を損なっていきますが、彼らはろくな診断もされず、痛み止めしか処方されません。東京入管ではこうやって被収容者をいじめ抜き、自発的な帰国を迫るということを、事実上おこなっているのです。
 それでも、帰国を自分で選べる人はまだまし、とさえ言えるかもしれません。3月22日には、強制送還中のガーナ人が、成田空港の飛行機内で入管職員に「制止」され、直後に死亡する事件が起こりました。ただの「制止」で人の命が失われるなどということが、一体どうして起こるのでしょうか。入管は過去にも、送還を拒否して自傷した外国人を無理に飛行機に搭乗させようとして、機長に拒否される不祥事を起こしています。
 これらが遠い過去の話や別の国の話ではなく、いま、私たちの目の前で起こっていることだということに、改めて愕然とさせられます。
 こうしたことの背景として、日本の法務省および入国管理局の根本的な問題も挙げねばなりません。日本政府は難民条約を締結しているにもかかわらず、同条約によって義務付けられている難民の受け入れを、事実上ほとんど拒否しています。法務省は、個々の申請者における難民性の高さに関係なく、ほとんどすべての難民を受け入れていません。入国管理局は、日本で生計を営む外国籍者を突然収容し、しかし子どもだけは収容せずに残すなどして、外国籍者の家族を生活不能に陥らせます。法務省や入国管理局によるこうした移民・難民行政の実態は、外国籍者の人権剥奪と呼ばざるを得ません。
 彼ら移民・難民は、外国籍者である以前に同じ人間であるはずではありませんか。彼らは私たちの社会の一員であり、この社会が必要としたからこそ、いままで日本に暮らしてきたのではありませんか。移民・難民の国籍にかかわる問題について責任をとらねばならないのは、自国にとって都合のいいときには外国籍者に日本社会で労働させ、しかもちゃっかりと税金をとりたててきた(日本国憲法によれば納税は「国民の義務」であるはずですが)、日本政府ではないでしょうか。だとすれば日本政府は、都合が悪くなったとたんに法律の締めつけを強めて外国籍者を排除するのではなく、日本社会に根を張って暮らす外国籍の人々に、安定した法的資格を認めることではないでしょうか。
 よって私たちは、法務省および入国管理局による上記のような移民・難民行政に抗議するとともに、法務大臣および法務省入国管理局長に、以下のことを要求します。

1 西日本入管センターが、本年3月にハンガーストライキを行った被収容者に対するすべての暴力的・弾圧的措置をとりやめること。また、かんさいネット・RAFIQ・アムネスティインターナショナル大阪難民チーム・西日本入管センターを考える会・TRY・日中友好雄鷹会大阪府本部・日本ビルマ救援センターの連名による西日本入管センターへの一連の要求を全面的に受け入れること。
2 今月22日、成田空港で強制送還される直前に不明の死をとげたガーナ国籍のアブバカル・アウドゥ・スラジュさんについて、死亡の原因をもう一度徹底的に調査し、かつその結果を完全に公開すること。
3 すべての難民申請者に対する現行の審査基準および審査慣行を全面的に見直し、難民条約にもとづいて難民審査手続きを改善すること。
4 全国の入管収容施設におけるすべての病人や怪我人を即刻、釈放するか適切な医療機関に診断させること。ただし、ここで言う「適切な医療機関」とは、入管専属の医師や、各入管施設が慣行として利用している外部の医療機関のことではなく、個々の被収容者ごとのかかりつけの医療機関のことである。
5 入管専属の診療医の人員数および診断の質を改善すること。そのためには、収容施設ごとの最大収容人数に見合う数の医師をつけること、また入管職員と専属医師の癒着を防ぐために、担当医師を定期的に(少なくとも年に一度)交代させることは、最低限とるべき措置である。
6 各入管施設のすべての職員は、名札をつけるなどして勤務中に名前を明らかにすること。
7 現在いわゆるオーバーステイの状態にあるすべての外国籍者に対し、日本で暮らすうえでの安定した法的資格を与えること。これは、日本政府がこれらの人々を、これまで労働力として暗黙のうちにこの社会に組み入れ、かつ課税の対象としてきたことに対してとるべき、最低限の責任である。

2010 年3月31日 
収容者友人有志一同(SYI)
織田朝日、富井明、流広志、周香織、柏崎正憲、他一同
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by p-dragon | 2010-03-31 22:15  

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