難民認定の運用改悪にたいする抗議声明

難民認定の運用改悪にたいする抗議声明

 2015年より入国管理局は、就労目的の外国人によって難民申請が濫用されているという「偽装難民」キャンペーンを展開してきました。そしてついに入管は、1月12日付の報道発表「難民認定制度の適正化のための更なる運用の見直しについて」で、新たな制度運用の方針を公表しました。

 その目的は「濫用・誤用的」な申請を抑制して「真の難民」を迅速に保護することにあると入管は言います。そのために、時間のかかる審査手続に先行して、難民申請者の「振分け期間」(初回申請後2か月以内)を設けるというのが、この新方針の主旨です。上記発表によれば「難民該当性が高い」人には審査期間中の就労が認められるものの、それ以外の申請者は、就労や在留の制限、申請の迅速処理といった、制限措置の対象にされてしまいます。

 私たちは以下の二つの理由から、この新たな方針に反対します。


1 難民を受け入れていると偽装している日本政府

 第一に、そもそも日本は難民条約締結国としての義務を果たしていません。難民条約に加盟していることで、日本は難民を受け入れると国際社会に宣言していることになりますが、実際には難民をほとんど受け入れていません。それは、各種の統計、報道、報告、聞き取り調査などから窺い知れるかぎり、入管が採用している「難民条約に該当する人/しない人」の選別基準が、あまりに厳格で、また大いに疑わしいものであるためです。

 日本が例年、すべての難民申請者の1, 2パーセント程度、あるいはそれ以下しか認定していないことは、周知の事実です。現在もっとも多くの難民が出ている上位五か国に含まれるシリアからの難民申請者にたいしてさえ、日本政府は一時的な在留資格を与えるだけで難民認定を拒否しており、そのことの不当性が法廷で争われています。司法の判断について付言すれば、入管が認定しなかったコンゴ民主共和国出身の申請者にたいして、難民認定を義務づける判決を、2015年に東京地裁は下しました。

 2014年に関東弁護士会連合会が難民申請者127名を対象におこなった聞き取り調査(2016年に結果公表)によれば、およそ三分の一の割合で、難民調査官が問題ある事情聴取をおこなっています。具体的には、机を叩いたり書類を投げつけたりして申請者を脅す、回答を急かす、一方的に説明を打ち切るといったことです。このように、現在の難民審査の不当性を示すデータや事例は枚挙に暇がありません。

 上述の報道発表で入管は、申請理由のなかでもっとも多いのは「本国における知人や近隣住民等とのトラブル」だとして、そうした理由を申し立てる人々が難民でないかのようにほのめかしています。しかし国際的には、政府以外の主体から迫害を受ける人もまた、条約上の難民として認められています。この報道発表もまた、入管が難民条約の精神にもとづいて難民認定を運用する意志を欠いていることを示しています。

 今のままでは、日本は難民を受け入れると対外的に宣言しながら実際には受け入れずに、国際社会をだましつづけていることになります。いわば日本政府こそが「偽装難民政策」をとっているのです。そのような政府に「真の難民」の利益をひきあいに出す資格はありません。まずは少なくとも他の難民条約加盟国なみに、難民を受け入れ、国際的な約束を果たすことが必要です。


2 外国人労働者を受け入れていないと偽装している日本政府

 第二に、入管のいう「濫用・誤用的」な難民申請のおもな原因は、日本の排除的な入管政策そのものにあります。したがって、本来は不要なはずの難民申請を減らしたいのであれば、審査を厳格化するのではなく、現在の入管政策そのものを是正しなければなりません。

 表向きには、日本政府は「単純労働者の外国人は受け入れない」としています。しかし実際には、技能実習生、留学生(パートタイム労働が可能)、定住者や永住者、在留資格のない人など、さまざまな就労外国人が、現に日本社会を構成しています。ところが政府は、在留外国人の社会への定着を支えるための政策を一切とらずに、こうした人々を国家の都合にあわなければすぐに追い出せるような法制度を維持しています。

 一例として、昨年11月からの新たな技能実習制度を見ましょう。これにより入管は、制度の適正な運用と技能実習生の保護を図ると称しています。しかしながら、技能実習生を労働者として認めることはひきつづき避け、自由な労働契約と職場移転の権利を否定することで、技能実習生の搾取や権利侵害を容易にする仕組みを残しています。

 日本はいわば「偽装移民政策」をとっていると言えます。つまり、公式には移民にたいして門戸を閉じながら、しかし非公式には国の利益になるときだけ利用して、国の都合にあわなくなったら放り出しているのです。権利を保障されず、追放の圧力に苦しめられるなか、他に救済手段がないので仕方なく難民申請の手続を利用している在留外国人がいることは、私たちも面会活動などをつうじてよく知っています。しかし、その責任は誰にあるのでしょうか。日本政府であり、この国の主権者である日本人にあるのではないでしょうか。


法務省への要求

 私たちは法務省にたいして、今回の難民認定の運用改悪を撤回することを求めます。くわえて、難民審査の基準を少なくとも他の難民条約加盟国なみに改善すること、在留資格のない長期在留者に在留資格を出すこと、在留資格のない外国人の収容をやめること(再収容者や健康状態の悪化した者の優先的解放、三ヶ月以上の収容の停止)を要求します。


2018年1月17日
SYI(収容者友人有志一同)

※ 本日、法務省に提出しました。





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# by p-dragon | 2018-01-17 18:05 | 声明・情報・考察  

ある日の入管54

いっそ子供のイタズラだったらまだかわいいと思うけど、高さと言い、力いっぱい引きちぎった跡といい
大人の仕業を臭わせます。
4コマ目の職員もなんとなく理解しているようなご様子でした・・・。

クリックでかくだい。
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# by p-dragon | 2018-01-06 23:43 | 4コマまんが  

外国人の出国の権利すら奪う日本の入管 ダヌカさんの即時解放を!


 私たちSYIは、入管による非正規滞在の外国人の収容と送還に反対しています。ところが今回、入管が外国人の出国の権利すら奪っているという事実が発覚しました。スリランカ国籍の男性ダヌカさん(1982年生)は、2010年11月から6年以上も帰国を妨害されつづけ、現在は東京入管に収容されています。なぜこんなことが起きるのか。ダヌカさんの証言からは入管のさまざまな問題が見えてきます。

ダヌカさんの入国の経緯
 ダヌカさんは1998年に来日し、超過滞在で就労していましたが、2008年に送還されました。彼は偽造パスポートを使い、別人の名前で入国していました。入国当時に未成年だったので単身での入国を許可されない可能性が高かったためです。しかしそのことに入管は気づかなかったのか、不法残留を理由として彼に退去強制を命じました。
 ふたたびダヌカさんが日本に来たのは2010年11月です。ダヌカさんはスリランカで貿易の会社を興しましたが、日本にいたころの知人に紹介されたヤマモトヒロシという人物に商談を持ち掛けられ、スリランカから日本への健康食品の輸出を始めることになりました。そのためにダヌカさんの会社は、スリランカ国営の医療品製造会社と契約を結びました。ところがその直後ヤマモトから、今後に取引を続ける資金がなくなったため、500万円をヤマモトの会社に投資するよう勧められました。ダヌカさんは怪しいと感じましたが、すでにスリランカ政府と契約を結んでしまったため、かんたんに手を引くこともできず、日本に来てヤマモトの会社の実態を確かめてから判断しようと考えました。
 案の定、ヤマモトの会社はペーパーカンパニーで、海外の貿易事業者に商談を持ち掛けてお金をだまし取る詐欺集団でした。しかしそのことが判明したとき、ダヌカさんの身には危険が及んでいました。2010年11月4日、成田空港に到着したダヌカさんをヤマモトは空港で迎えると、千葉県八千代市内のアパートに連れて行き、そこで21日間軟禁し、金を「投資」するよう圧力をかけ続けました。

詐欺と誘拐を無視する入管

 同月25日、東京入国管理局千葉出張所職員および千葉県警八千代警察署職員がアパートを訪れ、ダヌカさんをいったん八千代警察署に連行したあと、すぐに東京入国管理局に移送しました。入管は、ダヌカさんが受けた人身被害のことは無視して、彼が最初に入国したさいの入管法違反のことだけを尋問しました。しかも信じられないことに、ヤマモトがそしらぬ顔で入管まで面会に訪れ、自分のことを他言しないようにとダヌカさんを脅したそうです。これでは、ダヌカさんからお金をだまし取ろうとし、さらには誘拐まで行った詐欺集団を、入管はかばっているも同然です。
 毎日のように入管職員にどなりつけられ脅されることで、ダヌカさんは精神的にも身体的にも憔悴していきました。

入管にだまされ他人の名前で懲役2年に
 ある日、入管職員がダヌカさんに奇妙な約束を持ちかけてきました。入管の指示に従えば、前回の来日時の名前で一時帰国用のパスポートをスリランカ大使館に申請し、ぶじ帰国させるというのです。ダヌカさんは一刻も早く帰国することだけが望みだったので、この約束に応じ、一時帰国用パスポートの申込書を提出しました。
 しかし入管は約束を守りませんでした。入管は、ダヌカという名前(1998年入国時に使用した名前ではなく)が他人の名義であるという虚偽の調書を作成し、さらにはダヌカさんが帰国のために裁判を受ける必要があると伝えたうえで、彼をふたたび八千代警察署に移送しました。警察署では本名で外部と連絡をとることが禁止され、会社の関係者と連絡をとることができなくなりました。こうしてダヌカさんは入管に言われるままに裁判を受けた結果、他人の名前で懲役2年の実刑を受けることになったのです。

スリランカ大使館は身元を証明しているのに...
 ダヌカさんは刑期を終えると、そのまま入管に収容され、2013年11月に仮放免されました。その間ダヌカさんは、彼の本名を偽名とみなす入管の誤った決定を正すために、文書を提出したり、スリランカ大使館に身元を証明してもらったりしました。しかし、それでも状況は改善されなかったので、ついに彼は裁判に踏み出します。
 入管はスリランカ大使館に働きかけて、ダヌカさんのパスポートをブラックリストに登録させることに成功すると、そのことを入管側に都合のいいかたちで報告書を作成しました。しかしスリランカ政府の調査の結果、彼のパスポートはブラックリストから解除され、そのことをスリランカ大使館は入管に文書で知らせています。しかしダヌカさんによれば、証拠を効果的に使うことができなかったため、裁判に勝てませんでした。その後、2017年7月、ダヌカさんはふたたび入管に収容されてしまいます。

執行できない退去強制令書
 当然ながら、スリランカ政府は他人の名前のパスポートをダヌカさんに発行することはありません。したがって、入管がダヌカさんに発布している退去強制令書は、執行できない退去強制令書なのです。ダヌカさんは今、みずからの意志で帰国することも、強制送還でスリランカに戻ることもできません。入管はそのことを分かっているはずなのに、みずからの誤った判断を取り消そうとしません。
 いま東京入国管理局に収容されているダヌカさんは、職員から「あなたに本名を名乗る権利はない」と暴言を吐かれ、入管が登録している名前で書類を書かなかったことを理由に私物を没収されるなどの権利侵害を受けています。

ダヌカさんの即時解放を!
 問題の発端は、入管がダヌカさんの本名を偽名として扱ったことにあります。ダヌカさんを不法入国で告訴するために、事実を捻じ曲げたのだと推測されます。入管にだまされたせいで、いまだにダヌカさんは帰国することができず、収容施設に拘禁されています。過去に彼が身分を偽って入国したことが問題だとしても、そのこと以上の不正を入管はダヌカさんにたいして行っていると言えます。そもそもスリランカという一つの主権国家がダヌカさんの身元を確証している以上、それを日本の行政や司法が争う筋合いはありません。
 SYIはダヌカさんの即時解放と、彼が自分の意志で自由に出国することの保障を、入管に要求します。くわえて報道関係者各位にはダヌカさんへの取材を求めます。ダヌカさんは彼の問題が広く知られることを希望しています。




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# by p-dragon | 2017-12-27 17:58 | 入管内からの声  

年末の東京入管抗議・激励アクション 12/26, 12/29


第31回 2017年12月26日(火) 抗議・激励・面会アクション
 13:00 東京入管前に集合、行動開始
 14:00 抗議申し入れ
 14:30 面会(予定、身分証明書が必要)

第32回 2017年12月29日(金) 激励アクション
 入管は年末休み。外から収容者に声と、世界の音楽を届けます。
 14:00 東京入管前に集合(防寒対策をお忘れなく)

 集合場所: 東京入国管理局・正門前(港区港南5-5-30
 行き方: 品川駅・港南口(東口)8番バスのりば→「入国管理局前」で下車

 Flyer (PDF)
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私たちSYIは、入管収容に反対しています。全国17か所の入管収容施設で、今日も1000人以上の外国籍者が無期限に監禁され、自由を奪われ、精神的に、ときには身体的にも迫害されています。これは、日本が民主的・平和的であるべきと考えるすべての人にとって無視されてはならない問題です。

近年、入国管理局は、在留外国人の取締と追放を強めています。非正規滞在者や、在留資格をとりあげられた人が、つぎつぎに収容されています。長いあいだ日本に暮らし、すでに社会の一員になっている人々や、難民として迎えられると思ってやってきた人々でさえ、収容施設に隔離され、まるで犯罪者のように扱われているのです。

3月には、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)に収容されていたベトナム国籍の男性が、脳の病気で死亡しました。12月4日に公表された法務省の内部調査報告は「当局に過失なし」としていますが、しかし実際には、一週間にわたり体の苦しみを訴えてきたにもかかわらず、職員に無視されたまま亡くなったのです。死に至らないだけで、同じように収容のせいで苦しめられている人は数多くいます。

問題の根は、入管政策そのものにあります。留学生や技能実習生という資格による移民労働を非公式に許しながら、そうした人々を不安定な地位に留め、不都合な存在になればすぐに収容して追い出せるようにしているのです。そうして追い詰められた人の一部が、難民申請でなんとか在留や就労の資格をつなごうと試みることを、当局は最近「偽装難民」と呼んで問題視しています。しかし、それ以前から日本は、難民認定率の異常な低さで国内外から非難を浴びています。

私たちは年末も東京入管への抗議と収容者への激励をおこないます。26日には、収容者の家族も抗議の声をあげます。現代日本の強制収容所にたいして、ともに反対しましょう!

《呼びかけ団体》
 SYI(収容者友人有志一同)
 freeimmigrants@yahoo.co.jp
 080-8844-7318
 http://pinkydra.exblog.jp
 https://twitter.com/syi_pinkydragon

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# by p-dragon | 2017-12-15 08:44 | アクション・イベント  

第30回 東京入管抗議・激励アクション報告

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 12月10日の集会にひきつづき、11日には、30回目となる東京入管での抗議・激励行動をおこないました。前回と同様、クルドの収容者の家族が中心となって街頭に立ち、家族の解放を訴えました。

 申し入れの後、クルドの参加者たちは家族が解放されるまで帰宅しないという決意をあらわし、座り込みました。職員たちは「あなたたちが損をするだけ」「警察を呼ぶ」などと脅しながらも、最終的には、違反審査部門(仮放免を所管)の首席林秀和が対応に出てきました。
 しかし、この職員、実はすでに申し入れの開始直後に出てきていた人物。そのときには職位を聞かれても名乗りもしなかった。そのことを問いただしても、薄笑いをうかべ、こちらを見下したような態度で「答える必要ないと思ったから」と無責任な回答をするだけ。他の質問にたいしても、誠実な回答はいっさい返ってきませんでした。
 怒りと不信はつきないものの、警察の介入前に行動を終えました。

 法務省と入管の職員たちは、収容者を対等な人間として扱わず、収容のせいで体を壊して苦痛を訴えても詐病ときめつけて真剣に聞き入れません。その結果、人が死んだとしても「当局に責任はない」と開きなおり、それを正しいと信じています(3月の牛久入管でのベトナム国籍収容者の死亡事件にかんする、今月4日の法務省の内部調査のように)。
 すべての職員がそうではないかもしれません。しかし上の職位ほど、そのような差別意識に凝り固まった人間性のない職員ばかりです。今回の件にも、そのことがよく表れています。
 ​違反審査部門首席・林秀和は恥を知れ!​




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# by p-dragon | 2017-12-14 08:30 | アクション報告  

年次報告会「人権週間に法務省・入管の人権侵害を問う」の報告

 12月10日の年次報告会「人権週間に法務省・入管の人権侵害を問う」では、2017年に入管で起きた問題と、SYIの活動について報告しました。以下の資料(PDF)をごらんください。

年次報告会資料 目次
  • 開会の辞(2017年の概観)
  • 2017年の入管・難民関係のできごととSYIの活動
  • 入管当局にたいするSYIの要求: 以下の各要求の趣旨説明、あわせて収容者の事例と証言の紹介。
  1. 収容をやめること。
  2. 長期在留者に資格資格を認め、難民審査の基準を改善すること。
  3. 仮放免者の就労禁止と移動制限をなくすこと。
  4. 横暴な入管職員の名前と役職を公開すること。
  5. 収容施設で喫煙者にたいする禁煙の強制をやめること。
  6. ムスリムのハラルフード対応をおこなうこと。
  7. 収容者が健康の問題を訴えたらすぐに外部の医者に診せること。

 ゲスト講師の浪岡新太郎さん(明治学院大学准教授)には、2015年に裁判をつうじて難民認定をえたマッサンバさんの支援会の活動について、報告をお願いしました。
 もともと難民支援とはかかわりのなかった個人や団体が、たまたま隣人として知り合った一難民を支援することになり、難民認定義務づけの判決を得るまでの経緯について、エピソードをまじえながら分かりやすく興味深く語っていただきました。
 隣人としての繋がりにもとづく、日常性を基盤にした運動の意義と可能性について、示唆に富むお話をいただけました。その一方で、そういう日常性のなかで私たちが出自や国籍をこえて社会関係をはぐくんでいく可能性を、まさに入管が阻んでいると、浪岡さんが最後に強調されていたことが、心に残ります。
 浪岡さん、まことにありがとうございました。

 翌日の東京入管抗議行動の報告に続きます。


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# by p-dragon | 2017-12-14 08:23 | アクション報告